住宅の基礎を解説!住宅リフォームマニュアル~排水~

2022年3月16日
マニュアル

建物内や敷地内で使用した汚れた水を敷地の外まで排出する配管・ポンプ・浄化槽などを排水設備といいます。特に屋内の排水設備は、建物の構造にも深く関わります。
排水の種類や方式を把握して、水回りや配管の納まりをイメージしましょう。

「排水」の基本構造

住宅の排水経路は、「屋内分流・屋外合流」が基本

屋内では汚水と雑排水をそれぞれ単独配管にして、屋外で合流させるタイプが主流です。
系統を分けることで1本が詰まった場合に、被害を最小限に抑えることができます。

※下水道が整備されていない地域では、敷地内に浄化槽を設置して放流水質基準を満たした上で道路側溝に放流します。

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「排水」のポイント

建物内の配管はコンパクトに

建物内の配管が長くならないように、水回りはなるべく近くにまとめるようにします。
万が一、不具合が起きたときにメンテナンスがしやすくなります。

屋内の排水管には勾配をつける

屋内の排水を屋外へと導く屋内排水管は、管径75mm以下では1/50以上、75~100mmでは1/100以上の配管勾配をとることが必要です。

図面に書かれた「PS」に注目

「PS」とは上階の排水を下階に流す「配管スペース(パイプスペース)」のこと。
各階の排水は、床下スペース内で配管勾配を確保しつつ、PSに接続します。

キッチンの排水は単独で配管

雑排水のうち、キッチンの排水管は油分が付着して詰まりやすいので、その他の浴室や洗濯の排水管と分けて配管するのが望ましいでしょう。

臭いを防ぐトラップの種類

「Sトラップ」 キッチンの流し台・洗面所などに

床面方向に排水を流す場合に使う。アルファベットの「S」を左に傾けた形で、最も多いタイプ。自己サイホン作用により比較的破封しやすい。

※自己サイホン作用とは、ため水を一気に流したときに、トラップの封水が
 流出し、封水が失われる現象のこと。

「Pトラップ」 洗面所などに

壁面方向に排水を流す場合に使う。アルファベットの「P」を左に傾けた形をしている。床面がすっきりし、Sトラップより破封しにくいのが特徴。

「わんトラップ」 浴室・キッチンの流し台などに

椀形のふたをかぶせて封水をつくる。
水封部の水量が少なく破封しやすい。
ゴミや髪の毛などが詰まりやすいので、わんの点検や清掃が必要である。

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【ここに注意!】マンションの水回りが動かせるかは配管次第

水回りの移動ができるかどうかは、床下の配管が動かせるかどうかで決まります。
特にマンションでは、排水管を移動できない場合もあるので、まず確認が必要となります。

●床スラブ上配管

●自分の住まいの床下に配管されているタイプ。
●床下の空間が広い場合は大幅に移動できます。
 狭い場合は勾配が付けにくくあまり移動ができません。
 ただし床を上げて空間を取れば移動可。

●床スラブ貫通

●下階の天井裏に配管されているタイプ。
●勝手に排水管を動かせないので、水回りの移動は難しい。

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いかがでしたか?
リフォーム営業初心者の方、新入社員の方向けにつくられたマニュアルですが、経営者の方やベテラン営業の方にとっても、基本の立ち返りや次世代育成にお役立て頂ける内容かと思います。
これからも連載してまいりますので、ぜひご活用ください!


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