住宅の基礎を解説!住宅リフォームマニュアル~[構造] S造(鉄骨造)・RC造(鉄筋コンクリート造)~
第3巻では、構造・設備・性能リフォームの基礎知識、図面の見方について解説します。
リフォームの基礎となる建築知識の獲得を目指しましょう。
目次
「S造(鉄骨造)」とは
主要な部分に鋼材を用いて組み立てる構造。
強度があるので、柱の少ない空間をつくることも可能。
S造には、「軽量鉄骨造」と「重量鉄骨造」の2種類があります。
「軽量鉄骨造」と「重量鉄骨造」について
「軽量鉄骨造」は、厚さが6mm未満の鋼材を使ったブレース構造。木造軸組工法と同様、鉄筋の筋交いを入れて補強する。
「重量鉄骨造」は、厚さが6mm以上の鋼材を使ったラーメン構造。
接合部は溶接またはボルトでしっかり固定するので強度が高い。また、耐力壁が不要なので間取りの自由度が高い。
イラストで見る「S造(鉄骨造)」
「S造(鉄骨造)」のポイント
鉄の特性をいかした鋼材を使用
強度が高く粘り強いという特性を持つ鉄を、比重を軽くして構造用に成形したものが鋼材です。
S造では鋼材を組み合わせて骨組みにするため、軽くて丈夫な構造体をつくります。
耐火、防錆への対処が必要
鋼材の弱点は熱に弱いこと。また雨に濡れるとサビるといった課題もあります。
そこで鋼材に耐火被覆材や防錆処理を行うことで、その弱点を補う方法がとられています。
揺れやすく、音が響きやすい
柱間が広くとれるといったメリットがある反面、自動車の走行や風などの振動で揺れが生じやすく、
また音などが響きやすいのが弱点といわれています。
大規模な空間の建築に適している
鋼材は耐久性が高いことから梁を長くでき、柱数を少なくすることが可能です。
大きな開口や柱のない広々とした空間が求められる建築にも、強さを発揮することができます。
「RC造(鉄筋コンクリート造)」とは
鉄筋のまわりをコンクリートで固めてつくった壁や柱、梁などを、建物の骨格部分にした構造。
RC造には大きく「壁式構造」と「ラーメン構造」の2種類があります。
「壁式構造」と「ラーメン構造」について
「壁式構造」は、壁で力を支える構造のこと。柱や梁が室内に出ないため、室内を広く使えるメリットがある。
ただし階高が3m以下と規定があるため、部屋の高さも3m以下となる。
「ラーメン構造」は、柱や梁というフレームで構成される構造。
部屋に柱型が出るデメリットはあるが、自由度が高い空間が確保でき、階高、スパンを大きくとれ、間口の自由度も高い。
イラストで見る「RC造(鉄筋コンクリート造)」
「RC造(鉄筋コンクリート造)」のポイント
強く、丈夫。マンションに多い建築物
RC造は、鉄筋の持つ粘り強さと、コンクリートが持つ圧縮強度の強さという、
ふたつの材料の良さを併用した構造のため、強く、丈夫な建築物に仕上がります。
設計時の自由度が高い
構造体は、コンクリートを型枠に流し込んで固めるため、型枠の組み方次第で比較的自由につくることができます。
このためデザイン性のある住宅や、狭小地での建築も可能にします。
耐火性、耐震性、耐久性、遮音性が高い
コンクリート自体が不燃材で気密性があること、外からの衝撃に強いことなどから、
地震や火事などの災害に強く、遮音性にも優れています。
リフォームに向くのはラーメン構造
壁式構造は壁が構造体となるため、壁に孔などが開けにくく、増改築の自由度は少なくなります。
それに対しラーメン構造は、耐力壁以外は自由に造作でき、増改築にも対応しやすいといえます。
いかがでしたか?
リフォーム営業初心者の方、新入社員の方向けにつくられたマニュアルですが、経営者の方やベテラン営業の方にとっても、基本の立ち返りや次世代育成にお役立て頂ける内容かと思います。
これからも連載してまいりますので、ぜひご活用ください!