最高級シリーズをどう売るか?新商品開発の裏側から見える営業のポイントは「モノ・コト・ヒト」

2021年8月26日
コラム

2021年8月発表の新商品はご覧いただけましたでしょうか。システムキッチン「レミュー」と洗面化粧台「エリーナ」の扉柄が新たに追加されました。
これまでも技術力やこだわりを追求してきましたが、今回の新商品は特に、いま求められている「ライフスタイル」と「最新の海外インテリア」という2つのトレンドから構想を得て作られたこだわりの商品です。
今回は、これがどのような意図で開発され、どんなお客様にどうご提案いただくと刺さりやすいかをご紹介します。

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【1】本物の質にこだわり抜いた、「世界でひとつだけのキッチン」を

これまでの技術では、扉ごとに同じ柄を印刷することしかできず、理想のデザインを表現しきれませんでした。
そこで今回、私たちタカラスタンダードは、新製品発売にあたり「ホーローの可能性を追求する」という使命を見つめ直し、あらためてこの困難と向き合うことに挑戦しました。
そして、「雄大かつ繊細な柄をキッチンで表現したい」という開発者たちの熱い想いから、多くの困難を乗り越え、インクジェット印刷技術をさらに進化させた新たなロジック開発に成功。
これまでの難題を突破し、同じ柄の扉がほぼない、世界でひとつと言っても過言ではないキッチンが出来上がりました。
ホーローの可能性をさらに追求し、ホーロー製品を世の中にもっと普及させたい。
ホーローを通じて、より多くの人がより快適できれいな暮らしを楽しめるようにお手伝いしたい。
「水まわり」専業メーカーのプライドを持って、私たちはこの新製品を皆様にお届けします。

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【2】ターゲットは“丁寧な暮らしを愛する人”

「他者」に注目されることではなく、「自分」が納得するまで考え、想像し、心を満たすことが、現代の真の豊かさのひとつになりつつあります。
バブル崩壊頃までは、ブランド品や高級品を持ち、社会的ステータスを「他者」に印象付けることが豊かさとされてきました。
しかし、情報があふれる現代は、真偽の見極めを迫られる機会が増え、おのずと“本物”を求める動きが加速しています。

そのような情勢を受け、多くの消費者は、「自分」の感情やニーズを大切にし、商品の背景にある歴史や文化・商品に込められたストーリー(=コト)に注目する傾向が強くなりました。
この現代の消費傾向が、最近よく耳にする「モノ消費とコト消費」です。

現代の豊かな人は、ただお金を持っているだけの人ではなく、このような“本物”がわかる「ストーリーラバー(モノの背景にあるストーリーを愛する人)」であり、“本物”にならお金を出す人たちである、とも言えます。
『丁寧な暮らし』と呼ばれるライフスタイルが、富裕層のシニアから一般的な若い世代まで、世代を問わず支持されているのもこの流れを受けてのことでしょう。

そこで今回の新商品では、この現代の変化をふまえ『丁寧な暮らしを愛する人』をターゲットに設定。
「ペルソナ」というマーケティング手法を用いて仮想の人物像を作り上げ、その人が好む色柄や大切にしている価値観を追求した商品開発を行いました。

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【3】コンセプト①『てまひま』

本物志向の消費者は、商品の背景にある歴史や文化、商品に込められたストーリーを知りたいと感じています(=ストーリーラバー)。
そんなストーリーラバーに伝えたい価値が『てまひま』です。

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ホーローは一種の焼き物であり、前処理、施釉、焼成…と数々の行程と技術者の手を経てようやく完成します。
その『てまひま』を伝えたいという想いから生まれたのが新製品の「灰緑」と「白磁」です。
本来の陶器をモチーフに、焼き物特有のムラや貫入の表情を作り込み、焼き物とホーローの共通点である釉薬の存在を感じる風合いを目指しました。
そして、『とき(歴史)』を表現した新製品「ラスティブラウン」は、ホーローの基材である金属の美しさや時間の奥行きを、美しい錆(ラスティ)として表現しました。

【4】コンセプト②『あこがれ』

インテリアのトレンドは何で決まるか。大きな要因の一つは、ミラノサローネなどの海外展示会と、そこに出展する海外家具メーカーの家具です。
毎年、最先端の情報発信の場として海外で展示会が行われ、そこに集まる海外家具メーカーが出す家具デザインの傾向が、世界的なインテリアのトレンドとして2~3年かけて一般化していきます。
トレンドセッターが集まる海外展示会から、ハイブランド家具店や高級ホテル、アパレル店舗内装、雑誌に掲載されるような自由設計の住宅や、マンションの内装を経て、次にローコスト家具などで広く普及していく、という流れがあるのです。
そして、この流れに合わせて商品開発をすることで、タイムリーな市場に対する商品展開が実現します。

昨年2020年の海外家具メーカーの素材トレンドは、「石材」と「木目」。
海外家具メーカー新作379点を調べた2020年の調査では、「石材」は前年度から10%以上伸び33%(全体で2位)に。これから人気が上昇する注目のインテリア材と言われています。
また、木材も同じ調査で全体の45%(全体で1位)となり、最も利用されている素材となりました。
2022年以降は石材・木材を使ったインテリアが日本でもトレンドになっていくことでしょう。

そのような海外インテリアへの『あこがれ』を身近にしたい、という想いを込めて開発したのが、「ブラウンシルク」をはじめとする大理石調のラインと、木目調の「エルムナチュラル」です。

トレンドの「石材」に着目し、その色や質感のトレンドに合わせた新製品が「ブラウンシルク」「マルキーナブラック」「ドラマチックホワイト」「コンクリートダーク」の4種。

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住宅でも徐々に見られるようになってきた大理石ですが、自分のお家にとなるとまだハードルを感じる方が多いのではないでしょうか。
なかでも「ブラウンシルク」は、大理石にあこがれつつも一歩踏み出せない方にもおすすめです。ブラジルがルーツのユニークな天然石がモチーフですが、落ち着いたブラウンで日本のインテリアにもなじみやすく、「あこがれ」を身近に感じていただけるデザインです。

そして、注目の木材・エルムの木目を再現したのが「エルムナチュラル」。

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エルムやユーカリなどの早生樹は、SDGsの観点から希少樹種(育ちの遅い晩成樹)の代替として注目されています。

【5】営業活動のポイントは「ヒト・モノ・コト」

今回の新商品の価値をお客様にご理解いただくには、新製品ターゲットの人物像に近い方(ヒト)に向けて、ホーローそのものの機能的な側面(清掃性や耐久性)や価格だけでなく、クオリティの高さやストーリー(モノ・コト)をしっかり届ける必要があります。

●誰(ヒト)に向けて

▼灰緑・白磁・ラスティブラウン

『てまひま』をかけた旬の野菜を、丁寧に料理し、美しい器でいただく。そんな食生活を送る方にピッタリです。
琺瑯(ホーロー)は七宝とも呼ばれます。陶磁器がお好きな方であれば、「七宝焼」や「釉薬」「貫入」といった単語に興味を持っていただきやすいはずです。
「ホーローのもうひとつの名前をご存じですか?」「この柄は何をイメージしていると思いますか?」などの雑談を営業トークに挟んでみて、反応があればぜひご提案してみてください。

▼コンクリートダーク・ドラマチックホワイト・マルキーナブラック・ブラウンシルク

最新の流行やトレンドを意識する本物志向の人向きです。
ファッションやメイクの流行色がどうやって決められるのかご存じの方もあるかもしれませんが、「インテリアのトレンドがどうやって作られていくのか」をご存じのお客様はそんなに多くはないはず。
ここを切り口にしてご紹介すると耳を傾けてくれそうです。

▼エルムナチュラル

インテリアのトレンドに敏感であるだけでなく、環境や自然への意識が高い本物志向の人向きです。
「いまSDGsの観点から注目されている木材をご存じですか?」で興味をひきやすいかもしれません。

●クオリティとストーリー(モノ・コト)

製品(モノ)としてのクオリティの高さと、その製品が持つストーリー(コト)。
この2つの側面からお客様へのアプローチが必要です。

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価格や商品スペックだけでなく、“技術者の『てまひま』が詰め込まれた工芸品”のような美しさ、“世界的なインテリアのトレンド”や“SDGs”などの背景にあるストーリーを、お客様の興味に応じてお話できるかが肝になります。

カタログにも、このストーリーをイメージしていただきやすい情報を掲載しています。
電子カタログもダウンロード可能ですので、ぜひご活用ください。

いかがでしたでしょうか。ご不明点などございましたら、いつでも当社の営業担当までご相談ください。
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次回もぜひまたご参考いただけるとうれしいです。

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