開発者に聞く!新レミュー「家事らく&ホーローレンジフード」の進化(後編)

2023年9月20日
コラム

システムキッチンの最上級モデル「レミュー」が、2023年8月28日にフルモデルチェンジを果たしました。今回デザインとともに進化を遂げたのが、その機能です。開発者インタビュー後編では、家事動線を劇的に変える新・家事らくプランと、独自のホーロー加工技術を駆使して誕生したレンジフードについて詳しくご紹介。毎日の暮らしを快適にする新機能のポイントと、その実現までの道のりに迫ります!

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【1】家事動線の新常識。家事らくプランに「きれいエリア」登場

家事効率と清掃性を高めるゴミ箱スペース&専用引き出し

――タカラスタンダードといえば「家事らく」ですが、新レミューは家事らくプランもリニューアル。新タイプが追加されました。

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福原:
これまでの家事らくプランは、収納量と調理スペースを充実させたものでしたが、今回新しく作業効率を重視する方に向けて「きれいエリアタイプ」をご用意しました。

1つ目のポイントは、シンク下にゴミ箱などが置けるフリースペースを設けたこと。キッチンのゴミ箱はシンクから少し離れた場所に置かれることが多く、「ゴミを持っていくのが面倒」という声が聞かれていました。新タイプでは、シンクのすぐそばにゴミ箱を置けるので、サッとゴミを捨てることができます。ゴミ箱の他にも、掃除用品を置いたり、買い物後の食品の仮置き場にしたり、自由にお使いいただけます。

2つ目のポイントは、洗剤類の収納に便利な独自形状の引き出しです。キッチンでは漂白剤や食洗器用洗剤、除菌スプレー、ウェットティッシュなど何種類もの衛生用品が使われますが、「食器や調理器具とは分けて収納したい、かといって置き場がない」というお悩みがありました。そこで、かさばる洗剤もキャビネットに収納できるよう、深さのある専用引き出しを設けました。

使う場所の近くに必要なものを置くことで、家事動線を効率化できるのが「きれいエリアタイプ」の大きなメリットです。

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――たしかにわが家でもキッチン掃除用の洗剤が洗面所に追いやられています…。ゴミ箱置き場もコンロの後ろ辺りで、わずかな距離とはいえ、毎日のことなので思った以上に面倒なんですよね。

福原:
シンクで出た生ゴミをゴミ箱まで持っていく最中に液だれして床を汚す、というのもあるあるですよね。きれいエリアなら、そういったことも防げます。

ホーローを多く使っていることも「きれいエリア」のポイントです。フリースペース周辺や、引き出しの底面、背面もホーロー製で、汚れてもサッと掃除できます。

山口:
家事にはさまざまなニーズがあるので、「家事らくプラン」は常に改良を行っています。今回のモデルチェンジでは、コロナ禍の衛生ニーズを反映して、キッチン周りの清潔性を高める機能を盛り込みました。作業効率に関しても高い効果が実証されています。家事動線の検証を行ったところ、きれいエリアタイプでは一般的なキッチンに比べてゴミを捨てる時間が半減するという結果になりました。

新レミューは、従来の「たっぷり収納タイプ」、新登場した「きれいエリアタイプ」と家事らくプランが2種類になります。前編でご紹介したデザインだけでなく、使い勝手の面でも選択肢が増えていますので、お客様の好みに合わせたキッチンづくりにお役立ていただければと思います。

複雑な形状に四苦八苦。それでも貫いたホーロークオリティ

――まさに「家事らく」を体現する新プランですが、開発で大変だったのはどんな点ですか?

福原:
課題は「形状の複雑さ」でした。例えば、専用引き出しは前板の下部が斜めになっています。これは、深さのある引き出しが、その下にあるフリースペースへのアクセスを邪魔しないようにするためです。さらにキッチン全体のデザイン性を考慮して、隣り合う引き出しと前板のサイズを合わせる意図もあります。

ですが、斜めの構造はホーロー加工が難しいんです。加えて引き出しの内部には段差があり、いくつもの部品を組み合わせたつくりになっています。これまでにないキャビネット形状なので、強度チェックも慎重に行う必要がありました。

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――こんなに細かい部分にもホーローが施されているとは驚きました。

他の素材や製法ならもっと簡単に作ることができたかもしれませんが、やはりタカラスタンダードといえばホーローです。「タカラならではの高品質なホーローを使って、清掃性やデザイン性の高いキッチンを作りたい」という思いがあり、ホーロー製にこだわりました。

実現のために生産部門と協力し、角度や取り付けの懸念点を双方で出し合って、一つ一つ検証していきました。そうして何度も試作を繰り返した末に、使い勝手・収納力・デザイン性を兼ね備えた、新しい引き出しを完成させることができました。


【2】お手入れに革命を!新技術が詰まった最高級レンジフード

お客様に胸を張れる「本当にお手入れしやすいレンジフード」

――使い勝手の面では、レンジフードも大きく進化しました。その名も「キープクリーンフード」。どのような特長がありますか?

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亀田:
キープクリーンフードは、「よりお手入れしやすい、清掃性の高いレンジフード」をコンセプトに開発したレンジフードです。

ポイントは大きく3つ。1点目は、継ぎ目のない、フラットな形状にホーローを施した「ホーローシームレスフード」です。一般的なレンジフードは、前面、後面、左右側面、天面、底面(内面)それぞれのパネルを組み合わせてひとつのフードを形成する構造ですが、パネルの境目に継ぎ目ができるので、どうしてもそこに汚れが入り込んでしまいます。ホーローシームレスフードは1枚の板から形成する継ぎ目のないパネル構造で、その表面にホーローを施すことで、サッとひと拭きで汚れを取り除くことができます。

――とても掃除しやすそうですね。見た目もシンプルで洗練されています。

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亀田:
2点目のポイントは、「ファンのお手入れ10年間不要」です。レンジフードのファンは「掃除に手間がかかる」とお困りの方も多いと思います。キープクリーンフードは、当社独自のフィルタリング構造で、ファンの手前までで約90%の油汚れをキャッチします。ファンがより汚れにくくなり、普段の掃除は手の届きやすいところにある整流板とフードパネル、グリスフィルターだけでよく、そのすべてがホーロー製なので、お手入れが格段にラクになりました。

そして3点目は、自動で最適な換気を行う「自動風量切替」です。調理中の空気質の変化を捉える当社独自のセンサーを搭載し、調理中の状況に合わせて自動で風量が切り替わります。レンジフードの操作で調理作業を邪魔することなく、最適換気でエコにも貢献する新機能です。

失敗は宝の山。100台の試作と4年にわたる苦難の日々で得たもの

――多彩な機能を搭載したキープクリーンフードですが、それだけに開発の苦労も大きかったのでは?

亀田:
困難の連続でしたね。中でもホーローシームレスフードは、「コストを抑えつつ安定した品質で量産することは難しい」と当初は社内でも懐疑的な意見が多くありました。しかしながら、関係者一丸となり、このホーローシームレスフードを具現化するために新たな製造設備をさまざま導入するなどして、ひとつひとつ課題を解決しつつ、百回以上ものトライアルを重ね、ようやく量産化の目途を付けることができました。

――ホーローシームレスでありながら、他社と比べても高いコストパフォーマンスを実現した背景には、製造工程の改革もいとわない開発姿勢があったのですね。

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亀田:
それ以外の機能や構造等についても同様です。今回はレンジフードの価値を高めるため、さまざまな工夫を凝らした形で開発を行ったので、とりわけ試行錯誤の連続でした。

作りたいものを形にしていく過程は、無限の可能性の中から最適な要素を選び取っていく、という選択の積み重ねです。それぞれの要素にはメリット、デメリットがあり、やはりやってみないと分からない部分もたくさんあるんですね。ですから実際に設計してみて、さまざまな形で検証を行い、問題があれば原因を探して、どういう対策が取れるのかを検討し、次の設計につなげていく。このサイクルを粘り強くやり続けるしかない。それを積み重ねた結果が4年という歳月であり、開発プロセスの中では本製品に盛り込めなかったアイデアや技術も数えきれない程あります。

しかし、我々はそれが無駄だとは考えていないんです、その過程で培った技術や経験は、将来の新たな価値につながります。キープクリーンフードの開発は、たくさんの学びと気付きを得る貴重な機会でした。いわば“宝の山”ですね。

――新製品誕生の裏にある試行錯誤の一つ一つが、また次の未来につながっていくのですね。今後が楽しみになるお話をありがとうございました。お客様やパートナーショップの皆様にも、これからのタカラの商品開発にますますご期待いただきたいと思います!


【3】開発者メッセージ ―パートナーショップの皆様へ―

児玉 英男(開発部デザイングループ グループ長)

当社製品に対しては「デザインがもうひとつ」というお声を度々いただき、我々自身も課題と感じてきました。2015年にホーローへのインクジェット印刷を開発して以来、技術の進化を重ね、今回さらに扉の木口への印刷が成功したことで、よりデザイン性を高めることができました。ここまで柄付けの自由度が高いデザインを実現しているメーカーは他になく、海外でも通用するデザインになっていると自負しています。
新レミューはさまざまな思いを込めて作った商品です。そうした意味で、“家”というモノづくりに携わっておられるパートナーショップの皆様にも共感していただけるものがあるのではないかと考えています。フラッグシップモデルならではの魅力を感じていただき、ぜひお客様にもお伝えいただけたらと思います。

山口 健(開発部企画グループ 課長代理)

新レミューはデザインを刷新し、機能も含めたバリエーションも充実し、間違いなくお客様に「これいいね」と思っていただける商品になっていると思います。お客様のさまざまなご希望をかなえられるよう、生産部門とともに力を入れて取り組んでいますので、ぜひショールームで新レミューを体験していただければと思います。パートナーショップ様の売上に少しでも貢献できたらうれしいですね。

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亀田 雄史(開発部レンジフードグループ 課長代理)

もともと当社では、レンジフードの基本性能にホーローの特性を組み合わせた「丈夫でお手入れしやすいレンジフード」にこだわってきました。今回はさらにメンテナンスフリーや自動運転などの新機能を盛り込み、当社の技術の集大成のようなレンジフードを実現することができました。
見た目はもちろん、新レミューをはじめとする当社システムキッチンとの親和性が高いレンジフードに仕上げていますので、ぜひ実物をショールームでご覧ください。

黒川 將平(開発部デザイングループ 係長)

インクジェット印刷の進化は、我々開発部の想像も超えるものでした。実際に新レミューをご覧になった方には、「どうやって作っているのか?」と驚いていただけるはずです。その驚きをパートナーショップ様にもぜひ体験していただけたらと思います。そして、お客様にはぜひ新レミューを暮らしに取り入れていただきたい。お客様の日常風景に当社商品が溶け込んでいたら最高ですね。

伊東 美由起(開発部デザイングループ)

柄のデザイン制作にあたっては、模様ができるまでの長い時間や、その土地の景色まで表現するため、ヨーロッパの古材を取り寄せるなどこだわり抜きました。個性あるデザインが揃っていますので、選ぶ過程も楽しんでいただきたいと思っています。

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嘉数 真由(開発部デザイングループ)

今回ご紹介した以外にも、薄型天板やダウンライトの照明など、新レミューには多彩なアイテムが追加されました。この場でお伝えしきれないくらい、たくさんの魅力があるので、ぜひショールームで実物を見て、触れて、体験していただきたいですね。

福原 信子(開発部キッチングループ)

新レミューは設計する部品点数が非常に多く、開発期間中は皆でヒーヒー言いながら作業にあたる毎日でした。そんな思い出も含め、開発に関わったスタッフ全員の気持ちが詰まった商品になっているので、ショールームでたくさんの方に見ていただけたらうれしいです。

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新レミューの魅力と開発者の思いに迫った前後編のインタビュー、いかがでしたでしょうか。取材では一人一人があふれる商品愛を語ってくれ、予定時間をオーバーするほど。新レミューの開発に込めた熱い思いが感じられる取材となりました。
こうして誕生したタカラスタンダードの新たなフラッグシップモデルを、パートナーショップ様にぜひ体験いただき、たくさんのお客様に届けていただけたらうれしいです。

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