【事例】99%が紹介&リピーター。秘訣は「徹底した地域密着」と「パートナー企業との連携」にあり(株式会社企画室スズキ様)

2023年4月19日
事例

全国各地のパートナーショップを直接訪問し、現場の生の声をインタビューするシリーズ第7弾。
今回は、「家事らくリフォーム作品コンテスト2022」浴室&サニタリー部門で全国最優秀賞を受賞した、福島県いわき市の【株式会社企画室スズキ様】にご協力いただきました。※取材は2023/02/24に実施

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写真左から:タカラスタンダード株式会社 いわき営業所 大矢様、山口所長、株式会社企画室スズキ 井堀専務、鈴木社長、鈴木会長

【1】高齢化が進む地元の困りごとを助けたい

-「家事らくリフォーム作品コンテスト2022」の浴室&サニタリー部門、全国最優秀賞受賞おめでとうございます。

鈴木社長

ありがとうございます。まさか受賞できるとは思わず、一報をいただいた時は驚きました。


-初の応募だった前回は残念ながら受賞ならず。2度目の挑戦で全国1位となりましたが、かなりの意気込みがあったのでしょうか?

鈴木社長

そういった意識は全くなく、当たり前の施工をしたつもりだったので本当に予想外でした。社員一同とても喜んでいて、受賞タペストリーや盾などオフィスに飾っています。


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-今年で創業45年になられるそうですね。創業時からいわきを拠点にされているのですか?

鈴木会長

はい、ここは私の地元なんです。東京で不動産の営業などを経験したあと地元に戻り、20代後半で独立して始めた会社です。インテリア業からスタートしたのですが、内装の仕事をしていると自然とリフォームも頼まれるようになるんですよね。店舗の改装などから請け負うようになり、徐々に一般住宅も増えていきました。創業当初は下請けがメインでしたが、今は元請けが8~9割。リフォームは内装から外装まで全て手がけますし、新築や公共事業、不動産業も行っています。要望に応えているうちに事業の幅が広がっていったという感じですね。


-建築から不動産まで幅広く手がけられていますが、社員数は7名と少数精鋭です。

鈴木社長

建築やリフォームに関しては、当社が施工管理を行い、施工は協力会社にお願いしています。内装の施工は自社で行う場合もありますが、基本的には協力会社です。当社は小さな会社ですが、いろいろな業者と付き合いがあるのでどんな仕事でも受けられるんです。施工管理はお客様ごとに担当者を付けて、引き渡し後のアフターフォローまで一貫して行います。その他、不動産や公共工事入札などの書類管理、物件の内覧立ち合い、事務作業といった各種業務も担当者で分担して、連携しながら回しています。この人数だと営業には人手を割けないので、一般的な営業活動はしていません。ほぼ99パーセント紹介とリピーターで成り立っています。


-それはすごいですね。既存のお客様に意識的に声がけされたりもしないのですか?

鈴木会長

しないですね。年末のカレンダー配りくらいかな。チラシ広告も年に3回程度やりますが、それがダイレクトに注文につながるとは思っていないんです。会社を知ってもらう、という目的が大きい。

鈴木社長

地元の人は、広告に近くの会社が載っているとやっぱり信用してくれるんですよね。

鈴木会長

そういうわけで営業には注力していません。ただし、頼まれたら何でもやる。「仕事は断らない」が私の主義なんです。できないと言わない。100円の仕事でもやるからには手を抜かない。そういう精神で、いただいた仕事一つ一つに全力を注いで、信頼してもらうことで次につながってきました。


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鈴木社長

家電販売の仲介もやっています。というのも高齢者が多い土地柄で、生活の中で小さな困りごとを抱えている方が多いんです。高齢の方が家電量販店に製品を見に行って自分で買うのって大変じゃないですか。それをちょっと手助けしているという感覚です。究極“電球1個の交換”でも、「高い所に上れない」と困っていたらやりますよ。


-本当に地域密着を貫いてこられたのですね。ホームページで「介護住宅リフォーム」を目立たせているのもその一環ですか?

鈴木社長

介護住宅も要望に応えて十数年前から手がけるようになりました。介護関連の事業を始めた知人から、介護保険を使ったリフォームについて相談を受けたのがきっかけです。高齢化が進んでいる地域なので需要は増え続けていますね。十数年前と比べると金額にして10倍以上になっています。介護保険を使えばリフォーム費用に補助金が支給されることを知らない方もいるので、そういったことも含めてアドバイスするようにしています。


-制度のことを詳しく把握するのはなかなか難しいので助かりますね。お客様からの信頼も増すでしょうね。

鈴木会長

高齢の方が多い土地では特に、信用してもらうことが大事です。飛び込み営業なども好まれません。創業時に目指したのは「近所の人がお茶を飲みに来てくれるような会社づくりをしよう」ということ。それを今も続けています。

鈴木社長

協力会社も地元の業者が大半。気心が知れているので話が早くて仕事がスムーズです。それに、協力会社はさまざまな現場を見ているので、施工のトレンドなども教えてくれて、こちらの知見も広がります。その意味でも横のつながりは重要だと思っています。私の同級生が経営している会社も多いので、今後も長く付き合える同世代とのつながりも大切にしていますね。


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【2】災害経験で痛感した「いいもの」へのこだわり

-東日本大震災でも地元の方からは頼りにされたのではないですか。

鈴木会長

震災の時は、古い家で瓦が落ちたり外壁にヒビが入ったりといった被害が多かったですね。 震災を経験してからは危機感を持って生活するようになりました。お客様に対しても、安易に価格重視の提案をするのではなく、本当にいいものをお薦めするようにしています。

鈴木社長

震災時も大変でしたが、2019年の台風19号の水害もかなり深刻でした。近隣一帯が浸水して、この事務所も1メートルくらい水没してしまって。翌日、協力会社の人たちがプレハブを持ってきてくれて、そこでどうにか営業を続けることができました。この辺りの家はみんな被災してしまったので、近所の人が「うちも、うちも」って次から次に来て、お客様の家をどんどん直しながら会社の事務所も直して……という状況でした。あの時はタカラさんにも非常にお世話になりました。

鈴木会長

お客様宅の修繕は浴室から流し台まで全部タカラさんにやってもらいましたからね。なぜかというと、水害の後に周辺の地域を回ってみたら、タカラの製品はそっくり残っていたんです。木製製品は膨れたり曲がったりしているものが多かったのですが、タカラ製品は乾けば使える状態でちゃんと残っていました。やはりホーローだからでしょう。

鈴木社長

水害以前にタカラの工場見学に参加したことがあり、品質の良さは認識していました。耐震架台などもその時に見て「しっかり作られているんだな」と感じました。製品の表面だけではなくて、中身も自分の目で見て、その良さを確信しているのでお客様にもお薦めしています。


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-住宅のプロの方の視点でそう言っていただけると大変ありがたいです。

鈴木会長

いいものは高くても勧めます。予算がないからといって安いものを入れることはしません。これも当然、信用に関わります。「すぐ壊れた」「あの会社はだめだ」と言われたら終わり。インテリア業がメインだった頃から品質重視で一貫してきました。例えばカーテンも、安いものはフックに引っ掛ける部分が徐々に伸びてきてしまうんですが、いいものは20年でも30年でも変わらずに使えるんです。だから高くてもいいものを売る。そうすれば後から「高かったけどあれはよかったよ」と言ってもらえる。そうして信頼してもらえれば、また次の仕事にもつながります。


【3】受賞作品誕生の裏にある、20年来の地元の縁とパートナー企業とのつながり

鈴木会長

コンテストの受賞作品もリピーターのお客様なんですよ。リフォーム前の浴室は20年ほど前に私が担当して、私の自宅の浴室と同じように施工したものなんです。


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-出窓がある浴室は珍しいですが、会長のご自宅がモデルだったとは驚きました。

鈴木会長

「露天風呂に入っている気分が味わえるように」と作った浴室です。ただ、窓からはどうしても冷気が伝わりますし、昔ながらのタイル張りだったので冬場はとにかく寒い。今回のリフォームの依頼をいただいた時、施主様はお孫さんが生まれたばかりで、帰省した時に寒い風呂を使わせたくないという気持ちがありました。それに白アリの被害もひどく、入り口の段差も高齢の方には危険でした。


-寒さを解消するとなると、窓をなくす選択肢もあったと思いますが、やはり「出窓を残したい」とのご要望があったのですか?

鈴木会長

依頼の時点で明確に希望されていたわけではありませんが、「できることなら残したい」と思われていたようです。元の浴室を私が作らせてもらったこともあり、施主様は基本的に私にお任せしてくださる方でした。この事例に限らず、お客様は施工方法などの知識があるわけではないので「こうしたい」という具体的なご要望がないことも多いんです。高齢のお客様の場合は特にそうですね。ですから、こちらからアドバイスや提案、説明などを適宜行うように心がけています。今回の浴室は、20年前と変わらず田んぼや山のきれいな風景が楽しめる点が貴重だと感じたので、出窓を生かし、かつ温かい浴室にする方法として、内側に新たに窓を作り二重窓にする施工を提案しました。


-リフォームの施工としてはやや特殊ですよね。

鈴木会長

実はこの施工も自宅がモデル。水害の際に私の家も被災して、受賞作品と同じ施工でリフォームしたんです。


-これもまた会長宅がモデルだったとは! すでに予習済みだったということですね。

鈴木会長

そうですね(笑)。製品選びも早かったです。メーカーはタカラさんで決めていました。今回の浴槽は通常よりサイズが大きめですが、運よくタカラの展示商品にぴったりの製品があり、お客様とショールームに現物を見に行って即決しました。普段からパートナーショップ専用サイトで展示商品の情報をチェックしていたおかげです。施工にあたっては、当たり前のことですが、タカラさんと協力会社との打ち合わせや現場調査を入念に行いました。窓周りの施工に多少難しい部分はあったようですが、経験豊富で信頼の置ける協力会社なので安心して任せました。


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-見事に出窓を生かしたリフォームが完成しました。

鈴木会長

出来上がりには施主様もとても満足してくれました。「温かい」と言っていただけたのが一番良かった。安全で快適なお風呂で、これからも温泉気分を楽しんでもらえたらうれしいですね。


【4】これからも地域とともに、地域のために

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-当社としても、貴社や協力会社様と一緒にお客様にご満足いただけるリフォームを実現できてうれしく思っています。

鈴木社長

当社は小さな会社ですから、パートナー企業とのつながりはとりわけ大事です。タカラの営業さんとも普段からコミュニケーションを密に取っています。私は他のメーカーの製品も売りますけど、やっぱり一生懸命いろいろとやってくれたらタカラさん推しになっちゃう部分はありますよね。対応が早いので相談もしやすいですし。そういった意味でタカラさんも地域密着だと思います。これからも地域のために一緒に協働していただきたいですね。

鈴木会長

ショールームも非常に評判が良くて、お客様がいつも褒めるんですよ。アドバイザーの説明が分かりやすいし、対応も良い。お客様には他社のショールームも案内するのですが、タカラのショールームを見に行くと大体そこで決まることが多いですね。見積もりもその場で出してくれるので、我々も助かるんです。


-ショールームは空間展示も多く、お客さまもイメージが膨らみます。気付いていなかった自宅のニーズを発見されることもあって、その時にパートナーショップさんも同行いただけると相談がスムーズに進むことが多いので、さらに活用していただきたいです。

鈴木社長

以前、タカラさんの紹介で洗面化粧台交換をしたら、配管関連の全く別の仕事につながったこともありました。当社は営業担当がいないので、注文してくださったお客様から新しい依頼もいただけるのは非常にありがたいです。


-最後に、事務所に飾られている「商売飽きない~」の経営理念がとても印象的です。この仕事を楽しんでいらっしゃることが伝わってきますが、特にそう感じるのはどんな時ですか?

鈴木社長

やっぱりお客様が喜んでくれると、自分もやってよかったなと思いますね。

鈴木会長

次の仕事が来るっていうのもうれしいですね。すぐには来なくても、忘れた頃に「会長さんいる?」と訪ねてきてくれて「水道が壊れた」なんてことまで頼んでくれたらうれしいですよ。商売って本当に面白い。

鈴木社長

そういう商売を続けていくためにも、協力会社やタカラさんのようなメーカーとの連携は欠かせません。地域のつながりは今後も大事にしていきたいですね。家は一人では建てられない、皆で建てるものですから。

-お客様や仕事に対する真摯な姿勢が、受賞作品にもつながっているのだと伝わってきます。貴重なお話をお聞かせいただき、ありがとうございました!


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【5】いますぐ取り入れたい!企画室スズキ様 全国最優秀賞受賞の5つのポイント

1. どんな仕事も断らない!小さな要望にも耳を傾け、地元で頼られる存在に
2. 高くてもいいものを売る。品質重視でお客様との信頼関係を構築
3. 積極的な提案で、お客様の潜在的な希望に応える満足度の高い施工を実現
4. 積み重ねた信用を礎に、多角的・長期的な依頼を獲得
5. パートナー企業との連携で、地域のあらゆるニーズに寄り添い続ける

お客様に対する誠実さ、品質へのこだわり、経験に裏付けられた提案力で、地元企業として厚い信頼を得てきた企画室スズキ様。パートナー企業とのつながりも重視する人間味あふれる“商売”が、営業せずとも依頼が途絶えない企業力の秘訣でした。貴社でも取り入れられる部分があれば、ぜひご参考ください。


第4回家事らくリフォーム作品コンテスト2022の特設サイトで、受賞作品の詳細をご覧になれます。今後のリフォーム提案にぜひご参考ください。


いかがでしたでしょうか。次回は、家事らくリフォーム作品コンテスト2022に新設された「エマウォール部門」で全国最優秀賞を受賞した『株式会社イシモ建設』の記事を公開予定です。次回もぜひご覧ください。
※記載されている内容は取材当時のものであり、一部現状とは異なることがありますが、ご了承ください。

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