【事例】全国最優秀賞受賞に導いた5つの秘訣:株式会社オクジ様の戦略的な組織力

2022年3月16日
事例

全国各地のパートナーショップを直接訪問し、現場の生の声をインタビューするシリーズ第3弾。
今回は、「家事らくリフォーム作品コンテスト2021」のキッチン&リビング部門で全国最優秀賞を受賞した、大阪府岸和田市にある『株式会社オクジ様』にご協力いただき、営業活動の成功の秘訣、その裏側についてレポートします。※取材は2022/01/11に実施

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写真左から:タカラスタンダード株式会社 大阪支社 岸和田営業所 川渕課長代理、株式会社オクジ 白地部長、奥野社長、山本AD(アドバイザー)、岸本MG(マネージャー)

1. 会社に根付く顧客視点「三河屋のサブちゃん的な勝手口商売が根源にある」


-「家事らくリフォーム作品コンテスト2021」のキッチン&リビング部門、全国最優秀賞受賞おめでとうございます。

奥野社長

ありがとうございます。実は受賞を目標に動いてきたので、受賞の知らせを聞いた時はみんなで「よっしゃー!」と盛り上がりました。


-計画的に動いておられたんですか!

奥野社長

はい。私のなかで、ずっとこのような賞が取れていないと感じていました。弊社リフォームの実力を証明するためにも、このような賞を取る必要があると考えていました。一度受賞すれば会社のブランディングが高まります。新規客に向けてのアピール材料としてこれからが楽しみです。


-コンテストに提出いただいたエントリーシートを拝見しただけで、顧客目線のご提案をしておられると伝わってきましたが、それは普段からですか?

奥野社長

我々の会社は、大正15年に創業して96年。炭や薪を扱う燃料店からスタートして、現在はLPガス・住まいのリフォーム・宅配水事業を3本柱に、この泉州地域を拠点とした地域密着型の会社です。二代、三代と続くお付き合いをさせていただいている方もたくさんいらっしゃいます。
母体のガス事業が、サザエさんでいうところの三河屋のサブちゃん的な「勝手口商売」が根源にあるんです。「毎度こんにちは、お元気ですか」というスタイル。家族構成や、生活スタイルもわかったうえで、最適なプランを複数人で考えることができます。そういう土壌があるので、顧客目線が自然と養われたのだと思います。


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2. 最適な提案は『体制』で作る!「施工管理に携わる者は先に限界を見てしまう」


-賞を狙って動いてきたということですが、具体的にはいつ頃からどう動いてきましたか?

山本AD

社内で大型案件を盛り上げていくグループ(SP案件グループ)が5年ほど前に立ち上がり、この2、3年賞を狙っていこうと活動していました。


-受賞作品の担当者は、岸本マネージャー(以下MG)と山本アドバイザー(以下AD)の2名体制だったとのことですが、おふたりの役割分担は?

岸本MG

受賞作品のケースに関わらず、当社では大型案件は「営業」と「アドバイザー」の2名体制でお客様を担当します。お客様へのヒアリングやプランニングは「アドバイザー」、見積もり提示から施工管理を「営業」がメインで行います。今回の案件なら、私が営業で、山本がアドバイザーです。
ヒアリングシート・打合せシート・プレゼンシートなど、業務とタスクをフォーマット化しきちんと記録・保存することで、アドバイザーと営業の間で常に情報共有をしながら案件を進められる体制を作っています。顧客カルテみたいなものですね。


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-営業体制がすごく考えられているんですね。2名体制というアイデアを導入されたきっかけは?

白地部長

2000年代の後半に、外部のコンサルをいれて「顧客理解の重要さ」をレクチャーしてもらってから、ヒアリングは、1人よりも2人で聞く。ペア営業を確実にせなあかん、と舵を切りました。

山本AD

私が入社した2009年頃、これからまさにアドバイザーと営業担当者のペア営業を進めていこうという時期でした。それまでは、営業担当者だけでしていたので、私たちが「一緒に連れて行ってください」と声をかけると「何でついて来るん?」、「別にいいよ、1人で大丈夫」という返答が大半でした。
それでも、声かけを常に行い、また営業担当者がヒアリングした内容をもとに、提案プラン作成のサポートをしてまいりました。その結果、「○○様の初回訪問は○○月○○日の○○時でアポイントが取れたので頼むね」 「えっ!誰もスケジュールがいっばいで同行できない!どうしょう・・」など、今ではペア営業が平準化され、私たちも、「もっと期待に応えられるように頑張ろう」という気持ちになりました。


-2名体制のメリットは?

白地部長

主に2つあります。1つ目のメリットは「しっかりヒアリングができ、お客様に寄り添った提案ができること」です。2名体制にすることで、もともとうちの提案スタイルである「顧客理解(ヒト、モノ、時間)」がしっかりできるようになりました。
それまで、営業がヒトを知ろうと思っても、ひとつの案件で長く時間は使えなかったんです。営業は月や年ごとに売り上げ目標を持っている。その中でどれだけ一生懸命お客様のことを聞こうとしても、だんだんそれに時間がかかればかかるほど、次の案件に行けなくなってしまう。


-わかります。営業担当者なら誰でもが感じるジレンマなのではないかと思います。

白地部長

なので、アドバイザーには売り上げなど細かい目標は持たせていません。「お客様からしっかりヒアリングして、お客様の思いをしっかり形にする」ということに専念しなさいと言っているので、結果的にしっかりお客様に寄り添える体制が作れている。アドバイザーの山本は、お客様と一緒に家電や家具まで選んだりして、すごく楽しみながらやってくれてますよ。

山本AD

 私、お客様ととても仲良くなるんですが、リフォーム完了前は、完了後の実際の状態がお客様から想像できないので、完了後の姿に合う家具を事前に探すことが難しいようで、家具や家電のアドバイスはすごく喜んでいただけています。

白地部長

2つ目のメリットは、「提案のクオリティがあげられる」ということ。当社は営業が施工管理もやりますが、施工管理に携わる者は「これ以上できないな」という限界を、先に見てしまうんです。そうすると、お客様の要望に対してもつい「できません」と言いがちになる。でもアドバイザー視点なら、できますよとは言えなくても、すぐあきらめずに粘り強く代替案を考えられる。それが結果的に、お客様に支持される要因の一つかもしれません。


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-なるほど!とはいえ、アドバイザーも営業さんもスキルはバラバラでは?

岸本MG

それを標準化するのが、先ほどお話ししたヒアリングシートや打合せシート、プレゼンシートなどのフォーマットです。

山本AD

ヒアリングシートは、お客様やご家族のお名前などの属性情報や、引き合い・案件の分類、現在のおうちの状況やご予算、工期、工事中の居住をどうするかなど、ヒアリング内容を項目にして抜け漏れなくヒアリングできるようにしています。
打合せシートは、実際にお客様とのお打合せで伺った内容をその場でメモするものです。複写式のシートになっていて、控えの方をお客様にお渡しします。打合せで、言った言わないにならないように、というのもありますが、お客様のご要望詳細や自分の宿題なんかをメモしたりいろいろ役立ちます。
プレゼンシートもある程度フォーマット化はされていますが、案件によって内容は大きく変わります。基本的には、見積もりと、その内容をわかりやすくパースで説明する項目は必ずいれています。


-このフォーマットさえあれば、誰が担当しても失敗することはないということですね!

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3.賞を目標にしてはじめてうまれた現場の変化「施工写真は、私たちすべての仕事の結晶」


-賞を目標にしはじめてから、現場ではどのような変化がありましたか?

山本AD

元々アドバイザー同士でヒアリングシートやプレゼンシートをレビューし合ったり、研修会をしたりはしていましたが、賞を目標にするようになってからは、施工事例での見せ方にもこだわるようになりました。
冒頭で奥野が「賞は会社のブランディングを高めるものだ」と話をしていましたが、お客様にとってはひとつひとつの施工事例も同じで、当社がいくらでどこまでできるのかの証明になる、営業上とても重要なツールです。それを、賞を目指すことでじわじわ実感しましたね。

奥野社長

現場のモチベーションが上がっているのは、僕から見ても感じましたね。

岸本MG

リフォームのビフォーアフター写真に対する意識も大きく変わりました。それまで写真を撮れと社長からも言われていたんですが、みんな価値がわからず適当にやっていて…。それがいまでは、みんな会議のときでも「施工写真が命」という空気になった。リフォーム後の写真は、私たちすべての仕事の結晶なので。


-今回の受賞作品の写真を撮られたのは営業さんですか?

山本AD

リフォーム後のAfter写真のみ、プロのカメラマンに撮影してもらいました。以前雑誌に掲載していただいたことがあったのですが、その時に初めてプロのカメラマンさんに撮影していただいた写真が素晴らしかった。

岸本MG

それ以来、これだ!という作品があればプロに頼もうという発想になりました。


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4. 良い施工事例は良い提案を生む。施工事例の使い方・作り方・データ管理のポイント


-施工事例はどのようにお使いになっていますか?

山本AD

お客様がショールームご見学に来られて、まだ何もわからない状態の時は、当社の施工事例を見てもらいながらヒアリングをします。こんな感じのおうちですか?タイルのお風呂だったらこんな感じですよねって。このおうち・リフォームだったらこの価格、みたいな費用面の感覚もお客様にイメージしていただきやすい。なので、来ていただいたお客様には一通り施工事例を見てもらえるように、当社のショールーム内にある商談スペースには、必ず施工事例をたくさんご用意しています。

岸本MG

施工事例として当社のショールームで展示する以外に、ホームページや当社の広告・販促物にも掲載するので、契約時に書類で「広告掲載に関するご確認」をお客様に実施しています。その際に、写真がどこに掲載されるのかなど細かく記載しご説明もするので、写真の用途がお客様の中でも明確になり、ビフォーのお写真を撮らせていただく時にも安心していただきやすいです。
あと、いいなと思った案件で竣工時に撮影をお願いしてもNGなことがある。それならあらかじめに掲載可能か絶対NGなのかわかっているほうが、こちら側も準備がしやすいというのもあります。


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-施工事例として公開させていただくにあたって、お客様の反応は?

山本AD

施工事例はショールームに来ていただいたときにお客様に必ず見ていただく資料なので、広告掲載許可を取る時にも、資料を見せると「ああ、これね」という反応です。だから写真を撮るのが当たり前だと思っておられるかもしれません。若い方なら「インスタとか載せてくれるの?」って喜んでくださる方も多いです。


-おうちがきれいになったら自慢したいですもんね。なるほど。ちなみにこの掲載する媒体もお客様のほうで、例えば、インスタはいいけどパネルとかはやめて、みたいな感じで選べるんでしょうか?

山本AD

そうです。媒体ごとに◯×をつけてもらえるようにしています。

白地部長

この書類も初めは字ばかりだったんですが、もっとお客様にわかりやすくしようとアドバイザーがどんどん改善してくれました。


-施工事例を作る時のこだわりポイントは?

山本AD

大型案件で、大きく間取りや配置レイアウトを変えた場合は、リフォーム箇所のビフォーアフター写真だけだと全容がわかりづらいので、図面版ビフォーアフターも掲載するようにしています。今回の受賞作品のエントリーシートでもそうして、リフォームのこだわりや全体像が資料から伝わるように工夫しました。

川渕課長代理

「どうしても動かせない梁・柱の部分を残しておいた」っていうところが、全国最優秀賞の審査でもかなりポイントになっていました。全容がわかりやすくなれば、そういうポイントも伝わりやすくなりますね。

岸本MG

その辺は、施工管理もしていた営業の私の目線からポイントを追加しました。

山本AD

ずっと1人でやっていると本当にわからなくなるので、SP案件グループのみんなの客観的な目で見てもらってアイデアを出しあって、より良いものにできました。このエントリーシートができたのは、SP案件グループのみんなのおかげです。


-施工事例のデータ管理などで気をつけておられることは?

山本AD

ショールームでパネル展示する時、資料にする時、ホームページに掲載する時など、すべて写真と文章を統一しています。これで媒体ごとに編集する手間が省けます。
また、施工事例で使ったビフォーアフター写真、掲載した図面、紹介文などのデータ類はすべてひとつのフォルダにまとめてアドバイザーが管理しています。


-文章・写真を変えないようにすれば、媒体によって編集したりせずにすむので、社員の誰もが簡単に事例をつかいやすくなりますね。それでは最後に、あらためて今回の受賞についてひとことお願いします。

山本AD
今回受賞した時、お客様に「日本一のキッチンや」とすごくよろこんでくださったのが1番うれしかったです。

岸本MG

協力業者もめっちゃ喜んでくれて…。

白地部長

このような取材やインタビューなどを受け、全国最優秀賞の受賞を改めて実感しました。

奥野社長

来年も2年連続で全国最優秀賞もらいにいこう!

白地部長

今回の受賞は、それぐらいの気持ちになれる名誉だったと思います。ありがとうございました!


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5. いますぐ取り入れたい!オクジ様 全国最優秀賞受賞の5つのポイント


  1. 2名体制で「顧客目線」を大切に
  2. フォーマット化されたノウハウ(ヒアリングシート・打合せシート・プレゼンシートなど)
  3. 施工事例の写真は命。特にAfterの写真はプロカメラマンにて撮影
  4. 施工事例を営業でも活用し、お客様の写真掲載への心理的ハードルを下げる
  5. お客様の安心と広告掲載の効率化のためにも、許諾は契約時にとっておく

お客様目線に立ちやすい2名体制、それを効率化する情報共有の仕組み、効果的な施工事例の制作が可能になるチーム体制、それにドライブをかけた「賞を取る!」という目的意識。全社が1枚岩となれる戦略的な組織力がオクジ様の強い営業の秘訣でした。貴社でも取り入れられる部分があれば、ぜひご参考ください。


第3回家事らくリフォームコンテスト2021の結果発表ページで、奥野社長も参加した表彰式の様子が見られます。受賞作品の詳細もこちらからご覧になれますので、今後のリフォーム提案にぜひご参考ください。


いかがでしたでしょうか。次回は、「家事らくリフォーム作品コンテスト2021」の浴室&サニタリー部門で全国最優秀賞を受賞した『タカラ産業株式会社』の記事を公開予定です。次回もぜひご覧ください。
※記載されている内容は取材当時のものであり、一部現状とは異なることがありますが、ご了承ください。

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